中小企業診断士一次試験科目の出題範囲:中小企業経営・中小企業政策

科目設置の目的

中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要がある。

そこで、企業経営の実態や各種統計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業経営特質や経営経営における大企業との相違を把握する必要がある。

また、創業や中小企業経営の診断・助言を行う際には、国や地方自治体等が講じている各種の政策を、成長ステージや経営課題に合わせて適切に活用することが有効である。

このため、中小企業の経営や中小企業政策全般について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(1) 中小企業経営

① 経済・産業における中小企業の役割、位置づけ

  • 各種統計等にみる中小企業
  • 産業構造と中小企業
  • 大企業と中小企業
  • 中小企業性業種
  • 地域産業等

② 中小企業の経営特性と経営課題

  • 各種統計にみる中小企業経営の特徴、
  • 中小企業経営の特質と課題(経営基盤、経営の多様性、中小企業の経営戦略、先進性と旧態性、経営資源、ビジネスシステム、産業集積、商店街、中小企業の成長 等)
  • 業種・業態別経営特質と課題(製造業、卸売業、小売業、サービス業、物流業、ベンチャー企業、下請企業、小規模企業 等)、
  • 中小企業の経営環境と経営革新(経済事情、経営環境の変化、国際化、金融、労働、環境・エネルギー、取引、経営革新への取り組み 等)
  • 中小企業経営に係る最近の動向(情報技術の活用、ネットワーク、産学官連携、海外展開、創業、企業再生、知的財産権 等)

(2) 中小企業政策

① 中小企業に関する法規と政策

  • 中小企業関連法規
  • 中小企業政策の体系と内容(経営サポート、金融サポート、財務サポート、商業・地域サポート、相談・情報提供)
  • 中小企業支援事業の実施体制と政策
  • 中小企業経営と施策活用

② 中小企業政策の役割と変遷

(3) その他中小企業経営・中小企業政策に関する事項

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中小企業診断士

2次試験が免除になる中小企業診断士養成課程というルート。全12校の比較

中小企業診断士になるには、7科目の1次試験と4科目の2次試験に合格しなければなりません。
受験の申込みから中小企業診断士になるまでの流れ

このうち、一次試験は避けて通れないのですが、2次試験については受験しなくても中小企業診断士になれる方法があります。

それが中小企業診断士養成課程と呼ばれるもので、認定機関が実施する課程を修了すれば2次試験が免除されます。

さらに、養成課程のコースには実習も含まれていますので、2次試験合格者が中小企業診断士として登録するのに必要とされる15日間の実務従事、または実務補習も必要とされません。

つまり、養成課程を修了すれば即、中小企業診断士として登録できるわけです。

中小企業診断士養成課程を開設している機関は全部で12校。
以下の表に示します。

養成課程機関 場所 曜日 機関 価格(万) 備考
中小企業大学校 東京 平日 半年  110 実習費が別途必要。
都心から離れており、寮(別料金)が併設
法政大学大学院 東京 平日 1年 259 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
中京大学大学院 名古屋 夜間+土 2年 188 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
(公社)日本生産性本部 東京 平日 半年 259
(株)日本マンパワー 東京 夜間+土 1年 250 教育訓練給付制度対象
名古屋商科大学大学院 東京
名古屋
大阪
土日 2年 368 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
教育訓練給付制度対象
(一社)中部産業連盟 名古屋 夜間+土 1年 210 +消費税
東海学園大学大学院 愛知県
みよし市
夜間+土日 2年 150 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
教育訓練給付制度対象
東洋大学大学院 東京 夜間+土日  2年 257 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
教育訓練給付制度対象
千葉商科大学大学院 千葉県
市川市
土日 2年 248 学位(経済学、商学、政策情報学修士)取得も可
教育訓練給付制度対象
兵庫県立大学大学院 神戸 土曜中心 2年 183 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
城西国際大学大学院 東京 夜間+土日  2年 178 学位(経営管理修士 MBA)取得も可
教育訓練給付制度対象

 

2次試験免除と聞いて興味が湧いたのも束の間、表をバッと見て落胆した方も多いのでは?

その理由は、値段と期間でしょう。
あと、場所。

値段は御覧の通りですが、これは実際に支払う金額のみ。
何が言いたいかと言うと、例えば、平日の養成課程を受講すれば、休職か退職を余儀なくされるわけで、その間の収入も途絶えてしまうわけです。

夜間コースの養成課程でも、確実に出席するためには職場の理解が必要になってきます。

週末中心の養成課程もありますが、2年という期間を要します。

単に2次試験が免除されるという理由だけでは養成課程で中小企業診断士というのは選択しづらいかもしれませんね。

ということで、養成課程のメリットを挙げておきます。

  1.  確実に中小企業診断士になれる。
  2.  学校によっては同時にMBA等の学位も取得できる。
  3.  講師の教えるスキル、知識レベルが総じて高い
  4.  試験対策ではないので、実践的なカリキュラムが作れる。
  5.  討論形式、ゼミ形式が取り入れられていて知識が深められる。
  6.  長期間学びあった生徒どうしの人脈
  7.  中小企業診断士になれば、養成課程か2次試験かの区別はない。

一次試験に合格した後、2次試験のチャンスはその年と翌年の2回だけです。
翌年に合格できなければ、また振り出しに戻って、一次試験からやり直しです。

2次試験は思考力が問われる試験ですから、コツを掴めば短期で受かるストレート合格者がいる一方で、1年かけて準備しても2回目の受験に失敗する方がいるのも事実です。

自分の適性を踏まえ、リスクとリターン考えて検討することになりますが、一次試験に合格した年の2次試験を受験してみてから養成課程を検討してもいいでしょう。

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中小企業診断士

有資格者に対する中小企業診断士一次試験の科目免除。申請するしないは戦略的判断

以下の表にある対象者は、中小企業診断士一次試験の科目が免除されます。

 免除科目  対象者  提出書類(いずれか一つ)
経済学・経済政策 大学等の経済学の教授、准教授・旧助教授(通算3年以上) 在職証明書(期間記載のこと)
経済学博士 経済学博士の証明書
公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において
経済学を受験して合格した者
経済学を受験して合格したことが
分かる合格証明書
財務・会計 公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補と
なる有資格者
登録証明書
公認会計士試験合格証書
旧公認会計士試験第2次試験
合格証明書
税理士、税理士法第3条第1項第1号に規定する者(税理士 会計
試験合格者)、税理士法第3条第1項第2号に規定する者(税
理士試験免除者)、税理士法第3条第1項第3号に規定する
者(弁護士または弁護士となる資格を有する者)
登録証明書
税理士証票
試験合格証書
試験免除決定通知
弁護士名簿登録通知
所属弁護士会発行の身分証明書
(有効期間内のものに限る)
経営法務 弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者 弁護士名簿登録通知
所属弁護士会発行の身分証明書
(有効期間内のものに限る)
試験合格証書
 経営情報
システム
技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る
技術士となる資格を有する者
技術士登録証
試験合格証書
次の区分の情報処理技術者試験合格者
(IT ストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技
術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、
システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開
発、第1種、情報処理システム監査、特種)
情報処理技術者試験合格証書
情報処理技術者試験合格証明書

科目免除は受験申込みの際に申請する必要があります。
申込書兼振込依頼書に免除科目と資格を記入し、提出書類を別途郵送します。

申請するしないは本人の自由です。
科目免除の対象者であっても免除せずに受験しても構いません。
実際、そういう受験生は多いので。

どうして?
なぜ、科目免除を使わないの?

こう思うかもしれませんね。
それは、中小企業診断士一次試験の合格の基準に関係します。

中小企業診断士一次試験の合格の基準は平均点が60点以上です。

平均ですから、40点の科目があっても80点の科目があれば合格です。

つまり、苦手科目を得意科目でカバーすることが出来るわけです。
科目免除は、これができなくなります。

科目免除の対象となる資格はいずれも難易度が高く、中小企業診断士一次試験のレベルからすると、保有している知識レベルは余りあるものばかり。
受験すれば60点を超えることは難しくありません。

仮に80点とれば、20点の余裕が生まれます。
この余裕を、苦手な科目、思わぬ失敗をしてしまった科目にまわせるわけです。
科目免除を使うということは、この20点を捨てることです。

いくら得意科目でも、さすがに無勉強というわけにはいかないでしょうから、科目免除を申請するか否かは、学習時間、不得意科目の得点力などを勘案して決める戦略上の判断となります。

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