運営管理、オペレーション・マネジメントは大きく生産管理と店舗・販売管理の2つの分野から成ります。
範囲が広い運営管理
一次試験の試験時間には2種類あって、7科目中、60分が4科目、90分が3科目です。
運営管理は90分。
当然、範囲の広い科目が90分になっているわけなんですが、中でもこの運営管理こそがその最たる科目のような気がします。
60分科目の設問数が20問前後なのに対して、運営管理の設問数は40問を超え、7科目中最も多くなっています。
受験校のでも市販のものでもいいんですが、科目別テキストは運営管理が一番厚みがあるハズです。
図表を駆使して解説しなければいけない論点が多いというのもあるのですが。
範囲をイメージして貰うために科目の生い立ちを簡単に説明しますが、運営管理は2001年の中小企業診断士試験改革で科目の統廃合によって出来た科目です。
それまでの中小企業診断士試験は、商業、鉱工業、情報の3部門に分かれていました。
一次試験は部門共通の4科目と部門別の4科目の合計8科目。
運営管理は、商業部門科目の、仕入管理、店舗施設管理、商品知識の3科目、それに鉱工業部門科目の、生産管理、資材購買管理、鉱工業技術知識の3科目の合計6科目が統合された科目なわけです。
冒頭で言った運営管理の2つの分野というのは、それぞれ鉱工業部門と商業部門からの流れなわけです。
商業部門 | 仕入管理 |
運営管理 |
店舗施設管理 | ||
商品知識 | ||
鉱工業部門 | 生産管理 | |
資材購買管理 | ||
鉱工業技術知識 |
運営管理がいかに広い範囲を扱うかが分かってもらえたかと思います。
しかも範囲が広かろうが、試験時間が90分だろうが配点は100点。
他の科目と同様に1/7です。
範囲が広くて、配点が一緒だとすると、試験対策の費用(学習時間)対効果が悪いということになるんですが、そんなことはありません。
逆です。
2次試験に直結する運営管理
運営管理は2次試験と関連の深い科目です。
しかも2次4科目のうち、2科目も直接に関係します。
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例ⅡとⅢです。
- 事例Ⅱ
「マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」 - 事例Ⅲ
「生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
事例Ⅱが主に1次の運営管理の店舗・販売管理の知識を駆使して答えるもので、事例Ⅲが同 生産管理の知識を駆使して答えるものです。
2次を意識した学習
ですから、運営管理の学習の早い段階で、2次の事例の過去問を見ておくことが必要です。
当然、答えられないでしょうが、聞かれ方や、論点の深さなどを大まかにでも摑むことが目的です。
その上で、1次対策をする中で、2次試験を意識して学習を進めてください。
2次試験を意識して学習するということは、単なる暗記や、聞かれて答えるのではなく、使えるレベルを目指すということです。
例えば、
定期発注方式(*1)に向いている資材特性は?
定量発注方式(*2)に向いている資材特性は?
これに答えられれば一次試験は突破できます。
それも選択肢から選べばいいだけです。
でも、2次試験では、事例を見て、問題解決の手段として、選択肢すら示されない中で、定期発注方式や定量発注方式を発案しなければならないということです。
(*1)定期発注方式: 週一とか月一とかに発注する。そのときの在庫数により発注量が変わる。
(*2)定量発注方式: 在庫数が一定の水準を下回ったら発注する。発注する量は一定。
リアル感を大切に
当然ですが、小売業や飲食業、流通業に従事している受験生、製造業で働いている受験生は多少は有利になります。
ですが、試験ということで言えば、未経験の人でも、そのギャップを埋めることは難しくありません。
いうまでもなくインターネットの活用です。
検索すれば、画像や動画でどういうものかを見ることができます。
イメージできないまま論点の学習を終わらせないようにしてください。
特に店舗・販売管理に至っては街中に教材が溢れかえっています。
さすがにバックヤードを覗くのはムリですが、コンビニやスーパー、量販店や百貨店、飲食店に入ったときには学習したことを思い出して確認するといいと思います。
買い物中に目の前を掃除されたら、今まではムッとしていただけかもしれませんが、「これがレイバースケジューリングか?」とか考えてみればいいわけです。
注意しておきますが、あくまで従です、ついでです。
学習時間を割いてまで現場を視察する必要はありません。