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中小企業診断士2次口述試験の実施方法と合格基準

口述試験の実施方法

中小企業診断士2次の口述試験には、2次の筆記試験の合格者だけが進ことができます。
中小企業の診断及び助言に関する能力について、筆記試験の事例だどをもとに、個人ごとに面接の方法により行われます。

口述試験の実施時間・会場

一人当たりの試験時間は、約10分です。面接時間の変更はできません。

後述試験の受験地区は、筆記試験と同じ地区となります。

口述試験を受ける資格(=2次筆記の合格)は、当該年度のみ有効であり、翌年度に持ち越しすることはできません。

口述試験合格の基準

公式の受験案内には中小企業診断士2次試験の口述試験の合格基準としてこうあります。

口述試験における評定が60%以上であること。

と言われても、どうしようもないのが口述試験なのですが、意識する必要もありません。

どうしてかというと、口述試験の合格率は悪くても99%超。
合格率100%の年度も珍しくないからです。

ここまで合格率が高いと、正直、口述試験をやる意味がわかりませんが、いずれにしても、2次の筆記試験こそが中小企業診断士試験の最終関門と言っていいでしょう。

対策としては、2次試験の問題をもう一度見返して、自分がどういうふうに考えて、どう回答したのかを押さえておく程度で十分です。

もちろん、口述試験を欠席すれば2次試験は不合格となります。
さらに口述試験を受ける権利は本年だけものです。
さらにさらに、もし、一次試験合格が前年なのであれば、振り出しに戻ることになります。

ですから、口述試験の最大の敵は何かと言うと、緊急の用事です。
たかだか10分間の試験ですが、大げさでもなんでもなく、親が死んでも口述試験は受験しなければなりません。

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中小企業診断士

中小企業診断士2次筆記試験の合格基準。少しだけファジー

公式の受験案内には中小企業診断士2次筆記試験の合格基準としてこうあります。

中小企業診断士2次試験の合格基準は、筆記試験の総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと。

1次試験と同じですね。

12月の筆記試験の合格発表後、年明けに2次筆記試験の総得点と科目別得点を4段階評価したものが各自に郵送されます。

評価 正解率
A 60%以上
B 50%以上59%未満
C 40%以上49%未満
D 40%未満

総合評価がAであれば本来は合格ですが、一科目でもDがあれば不合格です。
つまり総合評価がAであっても、科目別がAAADだと必ず不合格です。
一方で科目別がACCCでも総合点数Aをクリア(合格)することは可能です。

 

さて、冒頭で紹介した合格基準の文章は、一次試験のものと実は少しだけ違います。

それは、一次試験の合格基準にある以下の記述がないことです。

「を基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします」

この記述がないということは、試験年度間の難易度の違いを考慮した調整などはなく、ガチの基準だということになるのですが、果たしてそうなのでしょうか?

これはですね、元々2次試験の筆記の採点があいまいさを含んでいるので、別にその記述はなくても構わないということです。

中小企業診断士2次試験は短答式と論述式からなります。
1次試験と違って、解答は公表されません。

例年、受験校や出版社が独自で模範解答を作っています。
事例Ⅳの財務・会計や短答式部分の解答はどこも同じですが、論述式の部分の解答例は各社各様です。

当たり前ですが、どの受験校にも合格実績があります。
そこで指導を受けた受験生が合格しているわけです。
その受験校のトップ講師が作成する解答例はどれも合格答案であることは間違いありません。

では、この合格レベルすら多様な答案を、試験委員は一体どのようにして採点しているのでしょうか?

これは一切公表されていませんので確たることは言えないのですが、各受験校の見解と普通の想像力で言えることを挙げてみます。

  • 正解は用意されている
  • 採点は複数人で行われている
  • 採点者間の相互チェック(一つの答案を複数人で見る)
  • キーワードチェック(回答にキーワードが含まれているか)
  • 明らかな見当違いの有無(実現性、奇抜、数値違い等)
  • 設問の条件から外れていないか
  • 論理的整合性(原因と結果、理由と対策)
  • 他の設問の回答との間に一貫性はあるか
  • 誤字脱字はないか
  • 部分点の採用
  • 加点方式+減点方式

2次の筆記試験の形式には長い歴史があります。
1次の試験形式は記述からマークシートへと大きく変貌を遂げましたが、2次の、事例を読んで短答式と論述式で答えるという形式は当初から変わっていません。

ですから、採点ノウハウの蓄積は相当あって、やり方はかなりの部分ルール化されていると思われます。
それは、公平性を担保しつつ、効率的に採点できるようになっているハズです。

であれば、ここに2次試験対策の正しい方向性が見えてくるわけです。

60点の答案に、突出したアイデアや、実務経験などは一切不要です。というか、むしろ邪魔。

大崩れしないように、リスクを避け、事例文から回答を探し出し、誰もが思いつくような最小公倍数的な答案をキーワードを意識して書けばいいだけです。

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中小企業診断士

中小企業診断士一次で一発合格を狙うのは、それが楽だから

普通、一発合格と言うと、勉強を始めてから初回目の受験で合格するイメージです。

中小企業診断士一次試験の場合は、それに加えて別の意味を持ちます。
それは、一次試験において同じ年に7科目すべてを受験して合格することです。

一発合格と聞くと何かスゴイことのようですが、科目合格制を使うことに比べて、合格し易かったりするわけです。

「一発合格」は多くの受験校が用いるキャッチフレーズですが、それは講座の優位性をアピールしているようで、実は合格を容易にする戦略でもあるわけです。

以下に近年の一次試験の科目合格率を示します。

合格率25%を超えがグレー、 10%未満が黒に白地です。
前回は科目ごとに年度間の合格率の変動の大きさに注目したのですが、今回は年度ごとに縦に見てみます。

 科目\年 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
経済学・経済政策 38.9% 6.1% 8.6% 24.8% 2.1% 19.4% 15.5% 29.6%
財務・会計 19.5% 11.3% 10.7% 3.8% 16.6% 6.1% 36.9% 21.6%
企業経営理論 18.8% 19.9% 13.1% 12.5% 6.8% 13.4% 16.7% 29.6%
運営管理 29.9% 18.2% 13.9% 19.4% 10.5% 17.8% 20.5% 11.8%
経営法務 10.5% 12.7% 23.3% 18.1% 21.1% 10.4% 11.4% 6.3%
経営情報システム 3.8% 25.8% 36.1% 25.8% 51.8% 15.0% 6.4% 8.5%
中小企業経営・政策 2.9% 24.2% 5.1% 17.4% 16.9% 31.1% 12.2% 12.5%

いずれの年度もグレーと黒が混在していることが分るかと思います。

例えば2015年の1次試験の合格者は、問題の難度の高かった経営情報システムや、経営法務で60点を下回った分を、財務・会計でカバーして、平均60点をクリアしている姿が見てとれます。

仮にこの年、過去の科目合格を使って財務・会計を免除していた受験生は、経営情報システムや、経営法務の高難度の影響をモロに受けて、かなり厳しい戦いを強いられたわけです。

もちろん、逆に、経営情報システムを免除していた受験生は非常に楽な戦いとなっているわけです。

つまり、科目免除はハイリスク、ハイリータンと言えます。

1次試験の合格率は例年20%前後を推移していますが、この合格率で勝負するための戦略は7科目すべてを受験する一発合格なのです。

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