中小企業診断士一次試験の科目は、他の資格試験とも重なるものがおおいのですが、この中小企業経営・中小企業政策だけは中小企業診断士ならでは科目です。
暗記色の強い科目で、しかも試験のネタ元が毎年更新されるため、受験年度に特化した試験対策が必要です。
覚える範囲が広いために高得点は容易ではありませんが、定番的な設問を押さえ、若干のプラスアルファで60点のクリアを目指します。
中小企業経営・中小企業政策は文字とおり2つの分野から出題されます。
- 中小企業経営
- 中小企業政策
2つの分野の設問数はほぼ半々。
ただし、対策方法はそれぞれ異なります。
一つづつ説明します。
中小企業経営。前年度の中小企業白書がネタ。
中小企業全体の現況、課題、あるいは中小事業者が考えてること等についての見識を問うものです。
設問のネタ元は国が毎年発行する中小企業白書。
毎年4月~5月に発刊されますので、試験スケジュールから考えて前年度のものから出題されています。
当年度の白書からの出題があった年も過去には見受けられますが、だからといて対策の範囲を当年度の白書まで広げると労力は倍になります。
出題率からいってそれは費用(時間)対効果が悪すぎます。
中小企業白書は500ページを超えます。
中途半端にチラ見したぐらいでは点数に結びつきませんので、当年度の白書については割り切ってもいいでしょう。
試験対策としては白書を通読するだけではダメで、グラフを一つひとつ読み解いた上で、
- トレンド
- ピークや谷の年度
- 最上位の項目名
- 項目間の大小、高低
こうしたことを記憶に留めておかなければなりません。
概要版でポイントを押さえる
中書企業白書は書店で購入することができますが、PDF版やHTML版が無料でダウンロードできます。
白書のすべてを精読するのは時間的に困難です。
概要版として30ページほどにまとめられたものが、ダウンロードできますから、これをしっかりと押さえましょう。
推論力を高め、点数をアップを狙う
自分がチェックしていなかった統計、あるいは覚えていないことは正解できないなんてことはありません。
持てる知識を総動員して仮説を立てて回答することになりますが、選択肢を5択から2択までに絞れたりするものです。
中小企業の基本的な特性、
大企業との違い、
製造業、小売業、卸売業、サービス業の基本的な特性を押さえておくことは2次試験で必須ですが、この科目でも有効ですので押さえておきたいところです。
過去問にあたって鍛えるのもいいでしょう。
ただし、設問に使われている情報は古い場合がありますので注意してください。
小規模企業白書が試験ネタに加わる
2015年より中小企業白書とは別に小規模企業白書が毎年発刊されるようになりました。
20人以下、あるいは5人以下(業種による)の企業を対象にした統計です。
小規模企業白書も書店で購入することもできますし、無料のPDF版やHTML版を中小企業庁のサイトからダウンロードすることができます。
前年度のものがネタになるというセオリーどおり、2016年度の試験で3問出題されました。
1年だけで傾向は予想できないのですが、小規模企業白書も4、500ページありますから、全編にわたって対策することも、捨てることもリスクがあります。
中小企業白書と同様に30ページ前後の概要版が無料でダウンロードできますので、これをしっかり押さえておくが平均的な対策と言えます。
中小企業政策。過去問を押さえよう
国や地方自治体が行う支援策について問われます。
試験のネタ元となるのは「中小企業施策総覧」です。
書店で購入できますた、PDF版は無料で配布されています。
毎年は刊行されていません。
「平成27年度中小企業施策総覧」
施策利用者向けに、コンパクトにまとめてあるのが「中小企業施策利用ガイド」です。
毎年刊行されています。
申し込めば送料のみで入手できます。
中小企業庁広報冊子の請求ページ
また、PDFは無料でダウンロードできます。
「中小企業施策利用ガイドブック」
が送料のみの負担で入手できますし、PDFのダウンロードも可能です。
使い方としては、「中小企業施策利用ガイドブック」を主にしながら、理解を深めたい場合等に「中小企業施策総覧」を参考書的に利用すれば良いと思います。
過去問に当たりながら施策を押さえていくといいと思います。
その際に、解答・解説だけでスルーするのではなく、必ず最新の中小企業施策利用ガイドブックを開くようにします。
改正されている可能性がありますから。
また、重要施策は繰り返し出題されますが、全く同じ設問はあり得ませんから、違う聞き方をされても答えれるように施策のスキームを押さえていってください。
以上、中小企業経営・中小企業政策で60点を取るという前提で攻略法を述べてきました。
一方で、広いとはいえ範囲が明確な暗記科目ということは、時間を掛けさえすれば高得点が望めるということでもあります。
全科目の一発合格を目指す方(多くはそうでしょう)、ガッツがある方は、他の科目の点数をカバーする得点源科目としてもいいと思います。