カテゴリー別アーカイブ: 中小企業診断士資格

一般社団法人中小企業診断協会の二つの顔

中小企業診断協会は中小企業診断士の会員組織です。

中小企業診断士を目指す方は資格を取る前から、好むと好まざるとに関わらず一生お付き合いを続けていく団体です。

1.   中小企業診断士試験委託機関としての顔

中小企業診断士は経済産業省が認定するものですが、業務委託を受けて実務を担っているのが中小企業診断協会です。

一次試験、2次試験はもちろん、実務補習から登録まで中小企業診断協会が運営しています。

本試験の際に問題用紙を配ったりするのは学生バイトもいたりするんですが、教室に必ず1名いる監督者。
この人、実は中小企業診断士なんです。

毎年、中小企業診断協会が会員に募集を掛けるのですが、結構人気のようですぐに埋まってしまうようです。

受験生の緊張した面持ちを見ながら、きっと自分が受験したときの当時に思いをはせていることでしょう。

 

2. 中小企業診断士の親睦団体としての顔

中小企業診断士に合格して登録が済めば中小企業診断協会に入会出来ます。
(2次試験に合格してすぐでも入会できますが、実務補習を終えて中小企業診断士として登録するまでは正会員ではなく準会員です)

組織は東京だけが6支部、あとは各道府県に一支部が設置されていて、いずれかの支部に入ることが必須です。

住まいや勤務地に関係なく、どの支部に属しても構いません。
沖縄の中小企業診断士が東京の城南支会に入ってもいいわけです。

中小企業診断協会の年会費

年会費が必要ですが、支部によって異なります。

会費は、本部会費+支部会費 で成り立っているハズですが、その内訳は公開されていません。
(もちろん、会員に対する会計報告は毎年行われます)

一番高いのが東京の6支部で、年会費は5万円です。

中小企業診断協会の入会は任意

入会は任意です。
未入会であっても、資格の維持・更新、および中小企業診断士として活動することになんら支障はありません。

実際、中小企業診断士23,145名に対して、中小企業診断協会の正会員は9,457名ですから入会率は半分にも満たない40%です。
(2015年現在)

入会は積極的に参加するつもりで

何かいいことがあるかもしれないと思って中小企業診断協会に入っても会報が郵送されてくる以外、別に何もありません。

入会するのであれば自分から積極的に親睦を図らないと意味がないわけです。

親睦を図るというのは具体的にどうすることかというと、組織の運営に携わるとか、研究会に参加したりすることです。

都会ほど研究会は盛んです。
東京なんかだと目移りする程です。
特色も、仕事につながるものから、ユルいものまで研究会により色々です。
どの研究会でも見学や体験入会が出来ますから、入会したら興味あるものから一通り巡ってみて、肌に合うものに入ればいいと思います。

新人の中小企業診断士に対しては、育成を目的にした研究会もあって、先輩診断士が、資格の活かし方から、書く、話すなどのスキルアップのための講習を行っていますので、資格を取ったものの、何から始めていいか分からない人はそういうものから参加してみるのもいいでしょう。

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中小企業診断士

中小企業診断士資格に維持費が掛かるの?

中小企業診断士は取って終わりではなく、5年ごとに更新が必要です。

中小企業診断士の資格更新に掛かる費用、これが維持費です。

更新が必要といっても5年毎ですから、かなりユルいわけですが、維持費がいくら掛かるのかは、中小企業診断士を目指す上で知っておきたいところです。

維持費には、必要不可欠なものと、費用対効果を考えて各人が選択するものとがあります。

まず、更新手続き自体に費用は掛かりません。
ただし、更新要件というものがあって、それを満たさないと更新できないわけです。
更新要件を満たすのに掛かる費用が中小企業診断士資格の維持費となります。

更新要件は二つあります。
知識の補充と実務の従事です。

1.中小企業診断士の更新要件:知識の補充

以下のいずれでもいいので、5年間で5回が必要です。

  1. 理論政策研修の受講
  2. 中小企業大学校の研修の受講
  3. 論文審査の合格
  4. 上記1、2の講師を務める

4だけは費用は掛かりませんが、一般的ではないので省きます。
2は料金が高めで、場所と日程が限られます。
3は大変な労力で、しかも費用は1と同レベル。
よって、消去法で1で更新要件を満たす中小企業診断士が大半です。

いくつかの認定研修会社が実施していますが、時間帯は午後の半日。
料金は似たりよったり。
一回6千円程度です。

つまり、5年間で3万円。
これが中小企業診断士が避けることの出来ない維持費ということです。

 

2.中小企業診断士の更新要件:実務の従事

以下のいずれかを30点取得するとあります。

  1. 中小企業者に対する経営診断・助言業務(1日1点)
  2. 実務補習又は養成課程の実習の指導

2は一般的ではないので省きます。
つまり、1の30日間の中小企業に対する診断・助言業務が必要だということです。

1日の従事時間に制約はありませんから、30分でも構いません。
要は30回訪問したということです。

企業内診断士の場合は、取得が難しく思えるかもしれませんが、診断業務は有償・無償を問いません。

また、中小企業の対象は個人事業主まで幅広く認められてます。
お知り合いはいませんか?
その方に経営に関する助言を30回行えばいいだけです。

ちなみに、更新の際に添付する実務従事の書類は1枚ペラに従事内容と期間を記入して、従事した中小企業の管理者の捺印があるものという簡単なものです。
診断報告書等の提出は求められませんし、そもそも口頭による助言でも構わないわけです。

伝えたいことは、実務従事の更新要件を得るのは難しいことではなく、本来、費用は掛からないということです。

どうしても実務従事の更新要件を満たせない場合は、中小企業診断協会等がその機会を有料で提供していますので利用するといいでしょう。

ただし、参加費が維持費として加算されることになります。

 

3.維持費をゼロに出来る休止制度

休止を届け出ることで、その期間、更新が不要となり、中小企業診断士資格の維持費がゼロとなります。

休止期間中でも中小企業診断士と名乗ることが出来ます。
名刺に書くことも、履歴書に書くことも可能です。

再開したいときに届け出れば再開できます。

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中小企業診断士

中小企業診断士は名称独占資格に「準ずる」ってどういうこと?

名称独占資格とは、資格を持っていなければそれを名乗ることが出来ない資格名称のことを言います。

何を当たり前のことを・・
こう思うかもしれませんね。

分かり易い例で比較をすると、「経営コンサルタント」。
経営コンサルタントに従事するのに資格は必要ありません。
誰でも勝手に名乗っていいわけです。
(クライアントがつくかは別問題ですが)

民間団体が「経営コンサルタント」を資格名として使っている場合もありますが、その場合は、頭に〇〇認定をつけて、
「日本生産性本部認定 経営コンサルタント」
などと称しています。

これは「経営コンサルタント」が名称独占資格でないが故に、自称・経営コンサルタントと区別するためなんですね。

国家試験が課されるような資格は大半が名称独占資格です。
弁護士しかり、医者しかり。

しかし、そうでない国家資格もあって、例えば情報処理技術者。
プロジェクト・マネジャー、データべ―ス・スペシャリスト、etc.
これらは名称独占ではありません。

中小企業診断士はと言うと、当然ながら名称独占資格です。

ただし、事実上。
どういうことかと言うと、法律として明文化されていないのです。

弁護士や医者を偽称すれば法律に触れることは常識的に分かります。調理師だって偽称すれば3万円の罰金です。
つまり名称独占資格であることが法的に担保されているわけです。

中小企業診断士にそうした法律はありません。

とは言っても、中小企業診断士が誕生したのは昭和44年。
資格名として定着しており、それ以外で使用されることはありません。法律に明記されていなくても、名称独占資格に準ずる扱いだということです。

もっとも、こうしたことは受験生はもちろん、中小企業診断士ですら意識することはありません。

名称独占資格が語られるときは、必ずもう一つの資格特性がセットです。
それが業務独占資格という特性です。

業務独占資格は例外なく名称独占資格です。
医者や弁護士は業務独占資格であり、同時に名称独占資格です。

ですから、通常、あえて名称独占資格と言う場合は「業務独占資格ではない」という意味を暗に含んでいます。

そういう意味で中小企業診断士は名称独占資格なのです。

業務独占資格でないことが中小企業診断士の強み

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中小企業診断士