科目の目的
財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資戦略や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心に知識を判定する。
(1) 簿記の基礎
- 簿記原理
- 会計帳簿
- 決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)
(2) 企業会計の基礎
- 損益計算書(収益の会計、費用の会計)
- 貸借対照表(資産の会計、負債の会計、純資産の会計)
- キャッシュフロー計算書
- 企業結合(合併・分割、連結決算)
- 会計ディスクロージャー
- 税務会計
(3) 原価計算
- 原価概念
- 原価計算の種類と方法
(4) 経営分析
- 経営比率分析(収益性、流動性、生産性、成長性)
- 損益分岐点分析
- 利益増減分析
(5) 利益と資金の管理
- 利益計画(限界利益と貢献利益、プロダクト・ミックス)
- 予算・実績差異分析
- 資金繰りと資金計画
(6) キャッシュフロー(CF)
- CFの種類と算出(CFの概念、営業CF、投資CF、財務CF)
- CFマネジメント(ツリーCF、運転資金の管理、CF関連比率)
(7) 資金調達と配当政策
- 資金調達の形態(内部金融と外部金融、直接金融と間接金融、自己資本と他人資本、企業間信用、リース)
- 資本コスト(借入金のコスト、社債のコスト、普通株式のコスト、剰余金のコスト、加重平均資本コスト)
- 配当政策(配当の種類、配当性向、配当政策の効果)
- 最適資本構成(財務レバレッジ、モジリアーニ・ミラー(MM)理論)
(8) 投資決定
- 貨幣の時間価値と割引キャッシュフロー(DCF)
- 投資評価基準(回収期間法、会計的投資利益率法、内部収益率(IRR)法、正味現在価値法(NPV法)、収益性指数法)
- 不可実性下の投資決定
(9) 証券投資論
- ポートフォリオ理論(ポートフォリオのリスクとリターン、効率的ポートフォリオ、最適ポートフォリオの選択)
- 資本市場理論(資本評価モデル(CAPM)の理論、指数モデル、CAPMと財務決定)
(10) 企業価値
- 株価の算定(配当割引モデル、株価収益率、株価純資産倍率、株価キャッシュフロー倍率)
- 企業価値評価モデル(割引超過利益モデル、割引キャッシュフローモデル)
- 企業合併・買収における企業評価(収益還元方式、純資産方式、市場株価比較方式)
(11) デリバティブとリスク管理
- リスクの種類
- オプション取引(コールオプション、プットオプション)
- 先物取引(先物為替予約、通貨先物取引)
- スワップ(金利スワップ、通貨スワップ)