中小企業診断士一次試験科目の出題範囲:経済学・経済政策

試験の目的

企業経営において、基本的なマクロ経済指標の動きを理解し、為替相場、国際収支、雇用・物価動向等を的確に把握することは、経営上の意思決定を行う際の基本である。また、経営戦略やマーケティング活動の成果を高め、他法で積極的な財務戦略を展開していくためには、ミクロ経済学の知識を身につけることも必要である。このため、経済学の主要理論及びそれに基づく経済政策について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(1) 国民経済計算の基本的概念

国民所得概念と国民経済計算
貯蓄と投資
総需要と総供給

(2) 主要経済指標の読み方

国民所得総計
雇用統計
鉱工業生産指数
消費者物価指数
国内企業物価指数
工業統計
商業統計
産業連関表
景気動向指数

(3) 財政政策と金融政策

IS-LM曲線
雇用と物価水準
マネーサプライ(マネーストック)
資本市場・金融市場
政府支出と財政政策
貨幣理論と金融政策
景気変動と景気循環

(4) 国際収支と為替相場

比較生産費と貿易理論
国際収支と為替変動
国際資本移動と国際資金フロー

(5) 主要経済理論

ケインズ理論
サプライサイド・エコノミクス
マネタリズム
古典派と新古典派理論
新保守主義とシカゴ学派
新制度主義経済学

(6) 市場メカニズム

需要・供給・弾力性の概念
市場均衡・不均衡
競争的市場の資源配分機能
「市場の失敗」と外部性
公共財と政府規制

(7) 市場と組織の経済学

取引費用概念
プリンシパル・エージェント概念
情報の不完全性
ゲーム理論

(8) 消費者行動と需要曲線

効用理論
予算制約と消費者の選択行動
代替効果と所得効果

(9) 企業行動と供給曲線

利潤最大化仮説
生産関数と限界生産性
費用曲線とサンクコスト
収穫逓増・逓減
規模の経済性・範囲の経済性

(10) 産業組織と競争促進

市場構造と競争モデル
独占の弊害と寡占化の協調行動
製品差別化と独占的競争
参入障壁と市場成果
研究開発と技術革新
事業活動の国際化と通商政策
中小企業と産業政策
規制緩和と民営化

(11) その他経済学・経済政策に関する事項

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中小企業診断士一次試験科目の出題範囲:財務・会計

科目の目的

財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資戦略や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(1) 簿記の基礎

  • 簿記原理
  • 会計帳簿
  • 決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)

(2) 企業会計の基礎

  • 損益計算書(収益の会計、費用の会計)
  • 貸借対照表(資産の会計、負債の会計、純資産の会計)
  • キャッシュフロー計算書
  • 企業結合(合併・分割、連結決算)
  • 会計ディスクロージャー
  • 税務会計

(3) 原価計算

  • 原価概念
  • 原価計算の種類と方法

(4) 経営分析

  • 経営比率分析(収益性、流動性、生産性、成長性)
  • 損益分岐点分析
  • 利益増減分析

(5) 利益と資金の管理

  • 利益計画(限界利益と貢献利益、プロダクト・ミックス)
  • 予算・実績差異分析
  • 資金繰りと資金計画

(6) キャッシュフロー(CF)

  • CFの種類と算出(CFの概念、営業CF、投資CF、財務CF)
  • CFマネジメント(ツリーCF、運転資金の管理、CF関連比率)

(7) 資金調達と配当政策

  • 資金調達の形態(内部金融と外部金融、直接金融と間接金融、自己資本と他人資本、企業間信用、リース)
  • 資本コスト(借入金のコスト、社債のコスト、普通株式のコスト、剰余金のコスト、加重平均資本コスト)
  • 配当政策(配当の種類、配当性向、配当政策の効果)
  • 最適資本構成(財務レバレッジ、モジリアーニ・ミラー(MM)理論)

(8) 投資決定

  • 貨幣の時間価値と割引キャッシュフロー(DCF)
  • 投資評価基準(回収期間法、会計的投資利益率法、内部収益率(IRR)法、正味現在価値法(NPV法)、収益性指数法)
  • 不可実性下の投資決定

(9) 証券投資論

  • ポートフォリオ理論(ポートフォリオのリスクとリターン、効率的ポートフォリオ、最適ポートフォリオの選択)
  • 資本市場理論(資本評価モデル(CAPM)の理論、指数モデル、CAPMと財務決定)

(10) 企業価値

  • 株価の算定(配当割引モデル、株価収益率、株価純資産倍率、株価キャッシュフロー倍率)
  • 企業価値評価モデル(割引超過利益モデル、割引キャッシュフローモデル)
  • 企業合併・買収における企業評価(収益還元方式、純資産方式、市場株価比較方式)

(11) デリバティブとリスク管理

  • リスクの種類
  • オプション取引(コールオプション、プットオプション)
  • 先物取引(先物為替予約、通貨先物取引)
  • スワップ(金利スワップ、通貨スワップ)

(12) その他財務・会計に関する事項

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中小企業診断士一次試験科目の出題範囲:企業経営理論

科目の目的

企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても十分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。

1. 経営戦略論

(1) 経営計画と経営管理

  • マネジメント・サイクル
  • 期間別経営計画
  • 意思決定の階層構造
  • 経営管理の原則
  • 意思決定プロセス

(2) 企業戦略

  • 外部環境分析・内部環境分析
  • 事業領域(ドメイン)の決定
  • 階層別戦略(事業戦略、機能戦略)
  • 戦略立案プロセス
  • 組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)
  • 組織文化と戦略

(3) 成長戦略

  • 成長のマネジメント
  • 多角化(シナジー、多角化戦略の分類)
  • M&A
  • 戦略的提携

(4) 経営資源戦略

  • 経営資源
  • PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)

(5) 競争戦略

  • 業界の競争構造
  • 競争回避の戦略
  • 競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)
  • 競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)
  • デファクト・スタンダード
  • コア・コンピタンス

(6) 技術経営(MOT)

  • 技術戦略
    • 技術戦略の策定
      • 技術の特徴把握・評価、
      • 自社資源の評価、
      • 外部資源の活用(共同開発、技術導入、等)
    • 特許戦略
  • 研究開発管理
    • 研究開発組織(組織形態、管理者の役割、技術者の人事管理と能力開発)
    • 研究開発計画と開発プロセス
    • 予算管理と特許管理
  • イノベーションのマネジメント
  • 知識経営(ナレッジ・マネジメント)

(7) 国際経営(グローバル戦略)

(8) 企業の社会的責任(CSR)

(9) その他の経営戦略論に関する事項

2. 組織論

(1) 経営組織の形態と構造

  • 組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)
  • 組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整
  • 権限と責任

(2) 経営組織の運営

  • 意思決定システム
  • モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)
  • モチベーション管理
  • モラール管理
  • リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)
    経営者・管理者行動
  • 組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)
  • 組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)
  • 組織間関係
    • 組織関関係の類型
    • 分析モデル(資源依存、組織正当性、エージェンシー、組織エコロジー)
    • ネットワーク組織
    • クラスター
  • 企業統治(コーポレイト・ガバナンス)
  • 組織パワーとポリティクス
  • 組織変革(チェンジ・マネジメント)

(3) 人的資源管理

  • 労働関連法規(労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働
  • 保険、社会保険、労働者派遣法)
  • 人事・労務情報(職務分析と意義と方法、人事考課の意義と方法)
  • 雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)
  • 能力開発(
    • 教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)
    • 能力開発の方法(OJT、OFF-JT、自己啓発)
    • 組織開発の意義と方法
  • 賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法)
  • 作業条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)
  • 経営戦略と人的資源管理の適合性

(4) その他組織論に関する事項

3. マーケティング論

(1) マーケティングの基礎概念

  • マーケティングの定義
  • マーケティング・コンセプト
  • マーケティングの機能
  • ソーシャルマーケティング

(2) マーケティング計画と市場調査

  • マーケティング目標設定(目標売上高、目標利益、市場占有率)
  • 標的市場の設定と接近(市場の分類、総合的市場接近法、市場細分化接近法)
  • マーケティング・ミックス(製品ライフサイクル、マーケティング目標と戦略、マーケティング・ミックスの展開)
  • 市場調査の意義と方法(市場調査の目的、対象領域、種類、プロセス)

(3) 消費者行動

  • 消費者行動の決定要素とプロセス(基本的決定要素と環境的決定要素、消費者行動のモデル)
  • 心理的決定要素(ニーズ、動機付け、態度、学習、パーソナリティ)
  • 社会的決定要素(家庭、準拠集団、社会階層、文化)
  • 意思決定(評価基準、ブランド選定の規則)

(4) 製品計画

  • 製品の意義
    • 製品の定義
    • 製品の種類:
      • 消費者用品(最寄り品、買い回り品、専門品)
      • 産業用品(原材料、主要設備品、補助設備品、構成部品、加工材料、業務用消耗品、業務サービス
  • プロダクト・ミックス(定義、プロダクト・ラインの幅と深さ)
  • ブランド計画(ブランドの利点、種類、ブランド・ネーム、マルチブランド、ブランド・ポジション)
  • パッケージング計画(意義、目的、開発)

(5) 製品開発

  • 市場性評価(市場動向分析、競合分析)
  • マーチャンダイジング
    • 製品企画・仕様・デザイン
    • 製品技術・製造コスト
    • テストマーケティング
    • 製造計画
    • 商業化(市場化)計画

(6) 価格計画

  • 価格計画の目的と設定要因(価格目的、価格決定の検討要因、価格決定プロセス)
  • 価格政策(開拓的価格政策、心理的価格政策、販売促進的価格政策)
  • 価格決定(費用志向的価格決定、競争志向的価格決定、小売価格の決定、製造業における価格調整)

(7) 流通チャネルと物流

  • 流通チャネルの機能と種類(チャネルの目的、機能、チャネル統合、チャネルの種類)
  • 流通チャネル政策(開放的流通チャネル、選択的流通チャネル、専属的流通チャネル、流通チャネルの評価と管理)
  • 物流(受注処理、物資の取扱い、保管、在庫管理、輸送、サプライチェ―ン・マネジメント)

(8) プロモーション

  • プロモーション政策(プロモーション・ミックス、プッシュ政策、プル政策、プロモーション戦略と製品ライフサイクル)
  • 人的販売(役割、販売員の種類、進め方、販売員管理)
  • 広告(広告の定義、種類、広告計画、媒体計画、広告表現)
  • 販売促進(
    • 目的
    • 種類
    • 消費者向け: サンプリング・プレミアム・クーポン・教育・コンテスト・スタンプ
    • 流通業向け: ディーラーコンテスト・ヘルプス・販売助成・報奨金・プレミアム・特別出荷
    • 社内向け: 実施プログラム、関係法規:景品表示法 等
    • PR(内容、必要性、使用媒体、方法、パブリシティ)

(9) 応用マーケティング

  • 関係性マーケティング
  • 顧客関係性管理(CRM)
  • サービス・マーケティング
  • ダイレクト・マーケティング

(10) その他のマーケティング論に関する事項

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