経済学・経済政策は平成13年(2001年)の試験改革で新たに加わった科目です。
では、それまでは経済学が試験と無関係だったのか言うと、そうでもなく、「〇〇に関する経済的知識」という似たような試験科目はあったんですね。
(〇〇には商業、工業、情報のいずれかが入る。当時は試験が3部門に分かれていた)
中小企業に経済学が必要か?
という議論はあるかもしれませんが、中小企業経営に直接の必要性がなくても中小企業診断士には必要な知識であるということです。
科目設置の目的には以下のようにあります。
マクロ経済指標の動きを理解し、動向を把握することは、経営上の意思決定を行う際の基本である。
また、経営戦略やマーケティング活動の成果を高めていくためには、ミクロ経済学の知識を身につけることも必要である。
なんだか大手企業の企業の経営者に向けたメッセージにも見えますが、とにかく必要だということ。
ただ、それだけ重要ならば、2次試験でも問われても良さそうですが、経済学・経済政策は2次試験とは関係がありません。
ですから、残念ながら一次で敗退しても、もし運良くこの経済学・経済政策で科目合格できたのなら、次回は迷わず免除申請して、他の科目に力を振り向けるべきです。
2次試験で問われないということは、理論を意思決定にどう反映させるかまでは考える必要はないわけです。
知識を詰め込みさえすればマークシート方式は得点可能です。
ただし、暗記科目ということではありません。
ロジックを理解しておかないと、ちょっと聞き方を変えられただけで、対応できないからです。
ロジックとは「風が吹けば桶屋が儲かる」的な理屈です。
納得感を得ながら学習を進めてください。
経済学・経済政策を苦手科目にしている人も多いのですが、その多くはグラフや数式へのアレルギーに近いものだと思います。
記号が散りばめられたグラフ、微分式。
確かに文系の人にとってはツライかもしれませんが、試験では微分式を計算させるような設問はありません。
考え方の理解を問うものばかりです。
一方で、企業行動に着目するミクロ経済学、そこから派生した行動経済学やゲーム理論などの領域は、興味深く学べる分野だと思います。
過去の問題を見ると、まったく勉強せずとも、普通の論理力で正解できるレベルの設問も少なくありません。
ちなみに私は中小企業診断士の受験対策を通じて初めて経済学を勉強した口ですが、この科目の面白さにハマりました。
経済学のテキストを開くと、いきなり、「三面等価とは、◆#$%□&▽*+」なんていうのが書かれていたりして閉口するかもしれません。
もし時間が許すのであれば、軽めの読みモノ的な経済学の本を読んでから、取り組むのも一つの手だと思います。
中小企業診断士転じて経済評論家の三橋貴明氏の本なんかお勧めです。
受験生当時、理解が進むにつれ、世の中の見方が少し変わったことを覚えています。
同時に、マスコミやコメンテータを始めとする知識層ですら、経済の基本を知らずにモノを言う人が多いということも分かりました。
中小企業診断士がそうであってはならないのは言うまでもありません。