「経営コンサルタント唯一の国家資格、中小企業診断士」
このキャッチコピーは、中小企業診断士試験の合格を支援する受験校が多用していますから、目にした人も多いことでしょう。
経営コンサルタントとは企業へのアドバイスを生業(なりわい)とする職業です。
組織の問題点を見つけ出し、改善案を策定し、実現可能な将来のシナリオを用意する。
コストを削減したり、あるいは売上を伸ばして、企業の存続と発展に寄与する。
経営コンサルタントとはそういうお仕事です。
とは言っても、経営コンサルタントという仕事をするにあたって、特に資格は必要ではありません。
誰でも経営コンサルタントと名乗っていいわけです。
(もちろん、顧客が付くかどうかは別です)
ではなぜ、中小企業診断士が経営コンサルタントの資格と言われるのでしょうか?
それは中小企業診断士に求められる知識、スキルが経営コンサルタントのそれと一致しているからに他なりません。
財務のスペシャリストとしての公認会計士、
税務のスペシャリストとしての税理士、
労務のスペシャリストとしての社労士、
法務のスペシャリストとしての弁護士、
特許のスペシャリストとしての弁理士、
技術のスペシャリストとしての技術士、
ITのスペシャリストとしての高度情報処理技術者。
ビジネス関連の国家資格は数あれど、いずれも、ある特定のスキルに関するもので、企業経営から見れば一機能に過ぎないわけです。
財務、人事、研究・開発、製造、販売、etc.
企業に存在するこれらの業務は密接に絡み合っています。
経営コンサルタントに求められるスキルとして欠かせないものを一つ挙げるとするならば、全体観なのです。
中小企業診断士の試験はこれを強く意識したものになっていて、企業経営全体に対応するカリキュラムを達成していないと中小企業診断士には合格できないようになっているのです。
また、MBA(Master of Business Administration:経営学修士)と中小企業診断士が比較されることも多いのですが、MBAは大学ごとに認定される民間資格という位置づけです。
中小企業診断士は経済産業省に登録される国家資格なのです。