経営法務は平成13年(2001年)の中小企業診断士試験改革で新たに加わった科目です。
それまでの試験で問われなかったということではなく、各科目ごとに問われていた法的知識が集約されたということです。
経営法務の難易度の傾向
これまで、経営法務は他の科目に比べて、難易度が安定していて、2015年までの7年間で科目合格率が10%を下回ったことのない数少ない科目の一つでした。(他には運営管理だけ)
ところが、2016年の試験では10%を大きく割り込み、6.3%という7科目中最低の合格率でした。
この年の出題領域を見ると、例年通り、会社法と知的財産権で半分以上を占めており、出題分野の傾向に大きな変化は見られないのですが、準備し易い定番問題と、準備しずらい難問とのバランスが崩れ、いささか難問の方に傾いた年であっと言えます。
また、例年よりも設問数が減っており、1問あたりの配点が増えたことで、対策に穴があるとそれが致命的となった可能性も考えられます。
また、設問数が減ったにも関わらず、逆に問題文のページ数は増えており、設問が長文化したことが分かります。
単純にルールの○か☓を問うのではなく、実務に即したミニケーススタディ的な設問への攻略が必要になってきます。
2次とは関連性が低い経営法務
経営法務は2次試験との関連性はありません。
他の科目のように2次を意識した勉強をする必要がないので、1次試験の突破だけを考えて効率良く学習したいところです。
もし一次試験で落ちて、経営法務が科目合格していたら、次回は免除の権利を使うべきです。
2次試験と関連する科目であれば、免除を使うと、どうしても間が空いてしまい、2次試験で不利となりますが、経営法務はそんなことを考える必要がないからです。
もちろん次回の経営法務の難易度が低ければ、他の科目をカバーできる可能性もあるのですが、あくまで可能性です。
逆に難化するリスクを考えれば、免除によって経営法務の労力を他の科目につぎ込むメリットの方が遥かに大きいです。
中小企業診断士の役割を意識した経営法務の攻略法
法律の分野で中小企業診断士に求められるのは、事業に影響する法的要件のアドバイスであり、法律の専門家への橋渡しです。
経営法務は一見、暗記主体の科目のようで、そうではありません。
人数や、期限、割合など、押さえるべき数値はあるものの、そう多くはありません。
なにより、択一式ですから正解を見せてくれているわけです。
条文そのものを押さえる必要はないので、法の趣旨を理解した上でルールを押さえていけば、聞き方を変えられても対応できます。