「中小企業診断士一次試験の合格率はおよそ2割強」
これは、文句のつけようの事実です。
じゃ、これは?
「合格を目指して努力を重ねてきた受験生のうち5人に一人しか中小企業診断士の一次試験に合格できない」
同じことを言っているように見えますが、実はこれは正しくありません。
中小企業診断士一次試験の合格率は見た目以上にもっと高く、合格し易い試験だからです。
まずは中小企業診断士一次試験に関する公式発表の数値を見てみましょう。
中小企業診断士一次試験の受験者・合格者・合格率
年 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
申込者数(人) | - | - | - | - | 18,361 | - |
受験者数(人) | 15,803 | 14,981 | 14,252 | 13,805 | 13,186 | 72,027 |
合格者数(人) | 2,590 | 3,519 | 3,094 | 3,207 | 3,426 | 15,836 |
合格率(%) | 16.4 | 23.5 | 21.7 | 23.2 | 26.0 | 22.0 |
中小企業診断士一次試験の合格率は年によってバラつきがあって合格率の最高と最低では10%近くの差があります。
これは中小企業診断士一次試験が、合格人数枠が決められた競争試験ではなく、所定の点数をマークすれば合格できるという簿記検定なんかと同様の試験だからです。
合格率が変動するのは、年によって試験問題の難易度に差があるということを示します。
さて、本題はここから。
2015年の中小企業診断士一次試験の申込者数は18,361人。
そして、受験者数が13,186人です。
つまり、受験料1万3千円を支払っていながら棄権している人がいるということです。
その数、ナント、5,175人。
受験率(受験者数÷申込者数)は72%、
棄権率(1-受験率)は28%です。
なぜ、棄権するのでしょう?
それは合格の可能性がないからです。
仕事や急用という理由もあるのかもしれませんが、それだって優先順位の問題に過ぎません。
もし合格の可能性があれば必死で都合つけて受験するものです。
28%は申込はしたものの、勉強に時間を割くことができなかったんですね。
では、受験した72%の受験生は、合格の可能性を信じて受験しているのでしょうか?
そんなことはありません。
見た目は受験か棄権かの二つのグループだけですが、当然この中には、迷って棄権、迷って受験のグループがいるハズです。
さらに、
合格の可能性はほとんどないグループの存在。
せっかく申し込んだんだから受験する。
来年のために雰囲気だけでも味わっておく。
受験生の中には、こうした記念受験が相当数いるはずなのです。
それら残念な受験生を除いたら、合格率は一体どれくらいに跳ね上がるでしょう?
50%?、60%?
冒頭の
「合格を目指して努力を重ねてきた受験生のうち5人に一人しか中小企業診断士の一次試験に合格できない」
もう、この文の間違いは分かりますね。
受験生全体として5人に一人だとしても、「合格を目指して努力を重ねてきた受験生」となれば5人に一人なんかではありません。
あなたが、中小企業診断士一次試験の合格の可能性を信じて試験会場の席についたのなら、それだけで高い合格率の母集団にいるわけです。