公式の受験案内には中小企業診断士2次筆記試験の合格基準としてこうあります。
中小企業診断士2次試験の合格基準は、筆記試験の総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと。
1次試験と同じですね。
12月の筆記試験の合格発表後、年明けに2次筆記試験の総得点と科目別得点を4段階評価したものが各自に郵送されます。
評価 | 正解率 |
A | 60%以上 |
B | 50%以上59%未満 |
C | 40%以上49%未満 |
D | 40%未満 |
総合評価がAであれば本来は合格ですが、一科目でもDがあれば不合格です。
つまり総合評価がAであっても、科目別がAAADだと必ず不合格です。
一方で科目別がACCCでも総合点数Aをクリア(合格)することは可能です。
さて、冒頭で紹介した合格基準の文章は、一次試験のものと実は少しだけ違います。
それは、一次試験の合格基準にある以下の記述がないことです。
「を基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします」
この記述がないということは、試験年度間の難易度の違いを考慮した調整などはなく、ガチの基準だということになるのですが、果たしてそうなのでしょうか?
これはですね、元々2次試験の筆記の採点があいまいさを含んでいるので、別にその記述はなくても構わないということです。
中小企業診断士2次試験は短答式と論述式からなります。
1次試験と違って、解答は公表されません。
例年、受験校や出版社が独自で模範解答を作っています。
事例Ⅳの財務・会計や短答式部分の解答はどこも同じですが、論述式の部分の解答例は各社各様です。
当たり前ですが、どの受験校にも合格実績があります。
そこで指導を受けた受験生が合格しているわけです。
その受験校のトップ講師が作成する解答例はどれも合格答案であることは間違いありません。
では、この合格レベルすら多様な答案を、試験委員は一体どのようにして採点しているのでしょうか?
これは一切公表されていませんので確たることは言えないのですが、各受験校の見解と普通の想像力で言えることを挙げてみます。
- 正解は用意されている
- 採点は複数人で行われている
- 採点者間の相互チェック(一つの答案を複数人で見る)
- キーワードチェック(回答にキーワードが含まれているか)
- 明らかな見当違いの有無(実現性、奇抜、数値違い等)
- 設問の条件から外れていないか
- 論理的整合性(原因と結果、理由と対策)
- 他の設問の回答との間に一貫性はあるか
- 誤字脱字はないか
- 部分点の採用
- 加点方式+減点方式
2次の筆記試験の形式には長い歴史があります。
1次の試験形式は記述からマークシートへと大きく変貌を遂げましたが、2次の、事例を読んで短答式と論述式で答えるという形式は当初から変わっていません。
ですから、採点ノウハウの蓄積は相当あって、やり方はかなりの部分ルール化されていると思われます。
それは、公平性を担保しつつ、効率的に採点できるようになっているハズです。
であれば、ここに2次試験対策の正しい方向性が見えてくるわけです。
60点の答案に、突出したアイデアや、実務経験などは一切不要です。というか、むしろ邪魔。
大崩れしないように、リスクを避け、事例文から回答を探し出し、誰もが思いつくような最小公倍数的な答案をキーワードを意識して書けばいいだけです。