公式の受験案内には中小企業診断士一次試験の合格基準としてこうあります。
中小企業診断士一次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
少し分かりにくいですね。
要は100点満点の60点がボーダーラインですよ、ということなんですが、科目ごとではなく、総点数で決まるということです。
点数で表現できないのは、受験生によって受験する科目数が違うからです。
中小企業診断士一次試験は全7科目で行われますが、有資格者に対する科目免除や、科目合格によって、これより少ない科目数で受験する受験生がいます。
ですから、7科目を受験した受験生の合格ラインは420点ですし、3科目の受験生の合格ラインは180点となります。
つまり、「合格ラインは受験科目の平均60点以上」と言い換えることもできるわけです。
そしてさらに、40点未満の科目がないことが条件です。
7科目で受験したとして、全科目60点だったら、ギリギリ合格です。
でも、一科目でも39点だったら、他全部が満点でも不合格となります。
これは受験した科目数に関係なくです。
さて、もう一度、冒頭に示した受験ガイドの合格基準に目をやると、
「を基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします」
とあります。
これはどういう意味かというと、平均60点以上、最低40点以上というラインを合否の原則としながらも、場合によっては調整が入りますよ、という意味です。
例えば、問題の難易度が例年に比べて高く、原則のボーダーラインで合否を判定してしまうと、合格者が著しく少なくなってしまう場合は、ゲタを履かせることもあり得るということです。
実際、2016年の中小企業診断士一次試験では、これが発動されました。
2016年の一次試験では、合格基準が1%下げられ59%に設定されたことが合格発表時に公表されました。
たかが1%と言うなかれ、7科目の受験生にとっては7点ですから、2、3問の間違いを正解にしてくれたのと同じです。
統計的にボーダーラインに人数が集中していると考えれば、相当数の受験生が救われたハズです。
さらにこの年は、経営情報システム科目の受験生の全員に4点がプラスされました。
中小企業診断士はマークシート方式な上、試験日の翌日には正解が公表されるので、かなり正確な自己採点が可能です。
しかし、箸にも棒にも掛からなかった受験生はともかく、微妙だった受験生は、合格発表があるまではあきらめずに、2次試験の準備を怠らない方がいいかもしれません。